忍耐する勇気。。。
思いにまかせぬ境遇に陥ったとき、
忍耐という勇気を決して忘れてはならない。
天候に晴雨があるように、人生にもまた、必ず波がある。
ときに災難にあうこともあろう。
苦境に沈むときも、前途暗たんと思われるときもあるにちがいない。
人は苦しいとき、それが永遠に続くように思われるものである。
しかし、雨の日が一生続いたことは、かつてなかったように、
必ず晴天がその先に待っている。
苦しい境遇に陥った時、若年であればあるほど、いたずらに焦慮を感じてあがくが、
これは、ますます深みにはまる拙劣な徒労といえよう。
これほど、青年の身心を深くいためつけるものはない。
努力しても、その苦しさから脱出することができないときは、
それを堂々と耐え忍ぶことを忘れてはならない。
焦慮にかられて短気を起こし、自らを破滅に導くのではなく、
時の過ぎるのを悠然と待つことである。
まことの忍耐は、勇気を必要とするのであって、
古今の勇者は、この人生の知恵の体得者であった。
青年は、忍耐すべきときには、
立派に耐え忍ぶことのできる勇者であっていただきたい。
どうしようもなく苦しいとき、
それが永遠に続くように思われることは恐るべき錯覚である。
それは後から考えれば、ほんのひと時のことにすぎない。
私は将来、大事をなさんとする青年に、
あせってはならない、忍耐する勇気を忘れるな、と申し上げたい。
「青春抄」より