偉大な妙音

 
近年、「音楽の力」が、さまざまな観点からますます注目されてる。
私どもが親交を結んでいる、
アメリカの精神医学の権威エルキース博士は、こう指摘されていた。
――現代人が病む「心の痛み」は、自然や他者との共感の絆を失い、
   自分の心や身体の調和が崩れた事が原因である。
   音楽は、その調和を回復する力を、
   人間自身の中から引き出す事ができる――と。
養護や福祉の現場でも、音楽は年齢や境遇を超えて、
あらゆる人の健康の回復、維持に活用されているという。
時代は、生命と生命の確かな共感を求めている。
生命の共感と感動を培いゆく音楽文化のさらなる興隆を願わずにはいられない。
「戦争という不協和音ではなくて、平和という調和の旋律を!」
と、アメリ公民権運動の指導者・キング博士は叫んだ。
現実の社会には、暗い嘆きの声や、嫉妬の悪口の声、
傲慢な怒号の声など、不協和音が渦巻いている。
それを上回る、明るい歓喜の声、和楽の声、そして正義の声を、
いたる所で高めていきたいものだ。
なかんずく、わが友に励ましを贈り、わが家庭、わが地域を、
希望で満たし結びゆく女性の声こそ、
平和を創りゆく、身近にして偉大な妙音ではないだろうか。
 
「音楽で平和の文化を」より(抜粋)
 
〜新・女性抄 2003.5.3発刊〜