『人生の勝利者の多くに共通』


松下(幸之助)はさらに続ける。
「私の場合、その日その日を精いっぱいに努力してきたということに尽きるように思われます。
 そして、その過程のなかには、常に希望があって、それが苦労とか苦闘を感じさせなかったのではないかと思っております」
"さすが、「人生の達人」の答えだ"と、山本伸一は思った。
おそらく苦闘についてのこの実感は、人生の勝利者の多くに共通したものであるに違いない。
後年、伸一と対談集を編んだブラジル文学アカデミーアタイデ総裁も、こう語っていたことがある。
「私は十代の終わりから、働き抜いてきました。
 しかし、苦労したなどと思ったことはありません。
 ただただ命がけで仕事をしてきただけです」
自身を完全燃焼させ、その時々の自らの課題に懸命に取り組む人にとっては"苦闘"などという思いは無い。
あえて言えば、それは"歓闘"といえるかもしれない。


聖教新聞2009.1.20(抜粋)〜