人間世紀の光「前進・勝利の年への出発」1

 
創価の師弟の新しき力を!
 
「前進」! 中国の文豪・魯迅は、この前進の力にこそ、「生命」の本質を見た。「いかなる暗黒が思想の流れをせきとめようとも、いかなる罪悪が人道をけがそうとも、完全を求めてやまない人類の潜在能力は、それらの障害物を踏み越えて前進せずにいない」。我らは、一切の障害を乗り越え、魔軍を蹴散らし、限りなく前進する。これが、無限の大生命力の根源たる妙法を信仰する人間の強さであるからだ。
創価」とは「大前進」の異名である。
創価」とは「大勝利」の異名である。
 
本年の十一月十八日、アメリカ議会図書館から、創立の父・牧口常三郎先生の講演記録が届けられた。あの弾圧の折、特高警察に押収され、戦後、アメリカで保管されていたものだ。それは、六十四年前(昭和17年)の十一月二十二日、法難の迫り来るなか行われた、創価教育学会の第五回総会での初代会長・牧口先生の獅子口である。そこに記された一説には、「言はねばならぬことをどしどし言ふて折伏するのが随自意の法華経であらせられると思ふ」とあった。
言うべきことを、声を惜しまず言いまくれ!恐れなく、戦い進め!
これが、初代からの永遠の遺訓である。
 
                 ■□■
 
それは、昭和二十五年の師走のことである。師である戸田城聖先生の事業が破綻し、学会の理事長も辞任された、言い尽くせぬ艱難辛苦の冬であった。私は、悪戦苦闘の日々に、こう記した。「一日中、思いきり動く。先生に対する批難、ごうごうたり。私は断然、戦う。先生の大使命を、最も知っているのは私だと確信する。・・・・・憤然として、命を張って、戦いきろう」広宣流布の大師匠は。戸田先生以外にはおられない。必ず必ず先生に第二代会長になっていただくのだ。そして思う存分、大前進の指揮を執っていただくのだ。その時をつくるため、大難の嵐のなかで、私は、ただ一人、生命をなげうって、先生をお守りしてきたのである。
悪逆のナチスと戦った、フランスの英雄ド・ゴール将軍は厳然と訴えた。「戦闘のまっただなかに、尨大な努力を尽くして、われわれは生まれ変わり、新しくなりかわらなくてはならぬ」と。私の決心も同じであった。この試練のなかで、私は、一切を変毒為薬して、生まれ変わった創価学会を作ってみせると決断し、その決意で生き抜いた。戦い抜いた。偉大なる我が師・戸田先生のもと、師弟の魂が脈動する、新しい学会を築くことを、私は生命を賭して、強く強く祈り抜いていたのである。そして、事業の苦境を大きく打開して、ついに我が師・戸田先生を会長に推戴できる春を迎えた。私は、熱い涙が止まらなかった。
昭和二十六年三月の下旬。西神田の小さな小さな学会本部で、先生は宣言された。
―――広宣流布の聖業を為すものは、断じて、われわれ創価学会以外にない!
そして烈々と叫ばれた。「いまはただ前進あるのみ。闘争あるのみ。もたもたしている弱卒にかかわっているときでない」と。この「前進!」の獅子口に呼応して、四月に入って間もなく、師と共に戦う陣列として、支部組織を一新した。そして時を移さず、学会内に、戸田先生の第二代会長・推戴の決意と歓喜が沸騰し、あの晴れわたる祝賀の五月の三日となったのである。(続)
 
聖教新聞 2006.12.20(抜粋)〜